2010年05月25日

映画鑑賞日記: 12

(2007・露) 邦題:『12人の怒れる男』IMDb logo

Sidney Lumet監督による『12 Angry Men』からきっかり50年後に作られた、ロシア版のリメイク。舞台を現代ロシアに移し、被告人をロシア人養父を殺したチェチェン人少年に。

私はロシア人―チェチェン人のカップルを個人的に知っているので、チェチェン紛争に関しても、彼らの言葉を通して、ごく個人的な体験として追体験している。チェチェンを含むカフカス地域の民族は。宗教は。習慣は。帝政ロシア以降のロシア人との関係は。民族感情は。などなど。これがあるのとないのとでは、この作品についてどれだけ深く理解し共感できるかが変わってくるとは思う。

というわけで、世間一般には評価の高いオリジナルに対して私はあまり評価できないのに対し、この作品は、かなり、大絶賛。より深い。そしてより面白い。オリジナルはとにかく密室劇をそのまま映画にしたということについて「よくがんばりました」とは思うけどはっきりいってストーリーは最初から読めてしまうし、あっと驚く展開もなく、特筆すべきキャラクターもなく、淡々と96分が過ぎてしまう。ちょっと退屈。

に対して、このリメイク版。やっぱ、ロシア人はすごい。東欧の人のこういう芸術に対するセンスって、もう脱帽です。ものすごく哲学的で、深くって、いろんなことを考えさせてくれるけど、それが押しつけがましくない。しかもきっちり芸術作品として整ってる。ところどころに黒沢監督などの作品に対するオマージュ映像が入っているのだけれど、それにも「取ってつけた感」がなく、この作品のコンテクストに合った意味のあるショットとして使われてる。

今年の(少なくとも上半期の)ベストムービーか。

10点満点中8点。
ラベル:crime Drama Thriller WAR 8/10
posted by げんまいちゃ at 07:05| 島根 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | Film | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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