2014年04月19日

映画鑑賞日記: Bella addormentata

(2012/伊・仏) 邦題: 『眠れる美女IMDb logo


舞台の背景にあるのは実際にイタリアであった尊厳死問題。Eluanaという名の交通事故にあった女性が17年もの間植物状態にあり、栄養チューブをはずすよう求める家族と、それに及び腰な病院との論争は、裁判所をこえ、カトリック教会をはじめとする団体の運動や、憲法解釈をめぐる大きな政争になり、イタリア全土に拡大していたようです。ベロッキオ監督はこの事件の周辺で起こる人々の3つの物語を描きます。それぞれの物語は同じようなテーマで同時進行で起こりますが、互いに関係はしていません。

おはなし1
妻の延命措置をしなかった政治家とその娘のすれ違い。Eluana問題が連日大きく扱われるため、母を奪われたという憎しみの感情が再燃している娘の冷たい態度を憂いつつ、父は議会へ。党はEluana延命措置継続法案に賛成票を入れるよう所属議員に強く圧力をかけてくるが、それは彼自身の経験にも彼の信条にも反している。反対を表明し政治家生命を失うか、信条を曲げてでも政治の舞台で生きるか。
一方娘は延命措置継続を求める団体の活動に参加。反対の立場の団体に所属する男性に恋をする中で、最愛の女性を看取った父親の感情を理解し始める。

おはなし2
薬物中毒で強い自殺願望をもつ女性と男性医師。病院の駐車場で医師から金品をひったくろうとした女性はその後院内の廊下で薬を盗もうとしているところを見つかり、追い詰められたところで手首を切る。やむなく緊急処置をするが、その後も女性は昏々と眠り続け、目を覚ます様子がない。リストカットの跡だらけの手首、注射跡で黒ずんだ腕、同僚医師はこの手の患者は時間をかけても報われないさっさと放り出すべきだというが、どうしても見放す気になれなくなった医師。が、ようやく目を開けた彼女は隙をついて窓から身を投げようとする。

おはなし3
植物状態になった娘のためにか輝かしいキャリアを捨てたかつての名女優。全てを娘のために捧げる彼女を聖女と呼ぶ人もいるが、その影で夫婦生活は破綻し、母に顧みられない息子は母の愛を渇望し、母を独占する妹を憎悪する。

3つの話は互いには絡まないが、モザイク状に入り組んで全体の流れを作り上げている。このあたりの纏めあげ方はさすがベテラン監督。尊厳死は是か非かという単純な二元論にしないところも、根底に流れる人間の儚さに対する愛情も、すばらしい。やはり欧州カトリックの国の懐の深さを感じる。


10点満点中7点。
ラベル:7/10 Drama
posted by げんまいちゃ at 00:00| 島根 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | Film | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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